軽井沢でホテルを2施設、東京でレストランを1店舗を運営する『ビジョンクリエイツ株式会社』。お客様と仲良くなるのが上手く、深い関係を築いているのが特徴です。今年7月には新たなホテルをオープンし事業を拡大しています。働く環境が整ってきており、昇給制度やアルムナイ(出戻り)制度などユニークな制度も充実しています。一度は会社を辞めたもののまた戻ってきた、いわゆる『出戻り』スタッフである岩村美里さんに、出戻りしたくなるほどの会社の環境やスタッフの魅力についてお伺いしました。接触回数の多さがゲストとの関係を深める──「軽井沢ホテル ロンギングハウス」はどんなホテルなんでしょうか?一般的なホテルに比べて接客がフランクです。お客様と一緒にお酒を飲んだり、プライベートで連絡するようになる方もいます。仕事終わりに「スタッフもみんなで飲もうよ」と誘われて、併設のワイン酒場で一緒に飲むことも多いですね。スタッフのことを好いてくれて、通ってくれる方が多いんです。──お客様と仲良くなるための秘訣を教えてください!とにかく話しかける。接触回数を多くするように意識しています。そうするとチェックアウトの頃には、「来年も来るね」とか「近くに来る予定があるからその時に寄るよ」と言ってくれるようになる。お客様と仲良くなって旅行に行ってきたスタッフがいたり、スタッフ数名と常連さんたちでBBQをしたこともあります。──仲良くなるのレベルがすごいですね。接触回数だけじゃそこまで仲良くならないはず。踏み込んだこと聞くからですかね(笑)「お二人の関係って長いんですか?」とか、大手のホテル会社だと少し怖くて聞けないじゃないですか?そういうことを聞いていくと、お客様も色々と教えてくれて仲良くなっていく。──そういう接客がどうしても合わないお客様もいますよね?そうですね。うちの口コミを見てもらうとわかりますが、極端に良いと書く人もいれば極端に悪いって書く人もいます。それは同じ日に起きていたりする。うちのスタンダードな接客が合う人には合うし、合わない人にはとことん合わない場合もあります。──お客様とお酒を飲むだけであれば他のホテルでもあると思うんですけど、そういう関係性が続くっていうのは、スタッフの“人”としての魅力なのかなと思います。教育や採用にこだわっているんですか?強制することではないので、全員がそういう接客のスタイルではないです。ただ、チェックインで鍵を渡すことや、料理のお皿を運ぶだけが接客ではないとお伝えしています。お客様にどう喜んで帰ってもらうかを常に考えるし、スタッフによっては仲良くなったら一緒にお酒を飲んだりすることもあるけど、そういう接客スタイルについてどう感じるか面接の段階で聞くこともあります。──全ての層に対応するより、決めたターゲットがリピートしてくれてる方がスタッフも接客していて嬉しいですよね。お客様も「楽しそうに働いてるね」と言ってリピーターになってくれるんです。お客様にもスタッフにもオープンでいる──この会社には、一度辞めたけどまた会社に戻ってきた『出戻り』が複数人いると伺いました。ホテルで働いていて、離職後にまた前のホテルに出戻りするってあまり聞かないので、相当良い組織なのかなって思っています!岩村さんも出戻りと伺いましたが、なぜ一度やめたのでしょうか?単純に体が持たないと感じたからです。当時は表参道の新店舗を立ち上げるメンバーになったことで、働く時間が増えてしんどかった。みんな店舗の立ち上げをしたことがなかったし、「表参道ってどこ?」という状態からスタートしていたので、どうしても働く時間が長くなってしまったんです。──その後他の会社も経験された上で戻ってこられたわけですが、再度ここで働きたいって思った理由はなんだったんですか?辞めてこの会社のことを嫌いになったわけではなく、むしろ新規で立ち上げた東京のお店には思い入れもあって通っていたし、スタッフとは定期的に連絡を取ってました。東京の店舗の運営が落ち着いていて、元々いたスタッフがたくさん抜けてしまったタイミングで、働いているスタッフから相談を受けたことをきっかけに戻りました。──辞めたあともスタッフと連絡を取るくらい仲良かったんですね。やっぱりこの会社の良さは人だと思っていて。新店の立ち上げを一緒にやってきた人もいるし、良いことも悪いことも経験しているので仲間意識がある。──出戻りが起こるくらい素敵な仲間たちがいることが、良い接客につながって、お客様とも仲良くなるのかなと思います。スタッフはどんな人が多いですか?自分のことをしっかりと開示できる人が多いと思う。お客様と仲良くなっていく過程でも、自分から開示しないと相手も開示してくれない。仕事だと割り切っていないからお客様に好かれる。それはスタッフに対しても同様で、オープンなマインドだから仲間意識が生まれるんだと思います。自分のことを開示できるって、仕事とプライベートをそこまで分けて考えてない状態だと思っていて、それは今後の生き方としても良いのかなと思っています。20代で仕事とプライベートの隔てがないくらい仕事をたくさんすれば、仲間も出来て、30代になった時に余裕ができる。逆に30代から仕事を頑張るのってなかなかハードルが高いですよね。──わかります!仕事は楽しくやったほうが得だし、なんなら仕事で自分のやりたいことを叶えた方がいい。そういう人達の集まりです。新店の立ち上げだけでなく、やりたいことをチャレンジさせてくれる環境になっていると思います。成長する会社を昇格制度で駆け上がる──出戻りする上で、人以外の理由は何かありましたか?働く環境は整ってきています。給与は一般的なホテルさんに比べたら高いですし、昇格制度というものがあります。普通の会社だと辞令が降りてきて役職が上がると思いますが、この会社では立候補ができます。ランク(役職)ごとに条件があって、それを満たし、更にプレゼンテーションに合格すれば試用期間を経てランクが上がる。言われるのを待つんじゃなくて、自分から上げたければ早く上げられるし、今のままがよければそのままでも問題はないです。──具体的なランクとそれぞれの給与をお伺いしてもいいですか?レギュラー(月給25万円〜)のランクから始まって、『マネジメントコース』と『エキスパートコース』に分かれています。マネジメントコースは管理職や会社幹部を目指して昇格を続けていくコースで、エキスパートコースは料理や接客などの得意分野に特化して専門知識を深めていくコースです。マネジメントコースではリーダー(28万円〜)、チーフ(31万円〜)、…と上がっていき、ゼネラルマネージャー(49万円〜)があります。エキスパートコースでもキャプテン(27万円〜)、エース(29万円〜)…と同じようにランクがあります。その他に『スペシャリストコース』というのもあります。たとえば弊社の野菜バイヤー業務をしている者は、野菜ソムリエの資格を持ち、全国各地の農家さんと関係を築いていて特別に野菜を卸してもらっています。こういった特別な技能を持った方を対象としたコースです。──ランクごとに年齢制限はなく、やる気や能力次第で上がれますか?はい。入社2年目でチーフ(31万円〜)の方や、20代でマネージャー(41万円〜)になった方もいます。──会社が伸びないとランクも詰まってしまうと思います。会社として新店舗や新事業について積極的に進めていこうとしているんですか?そうですね。3年後、5年後までに達成したい指標があって、そこに向かって拡大をしています。今年7月には新しいホテル「LONGINGHOUSE 旧軽井沢・諏訪ノ森」をオープンしました。他にも常に物件等は探していて、積極的に拡大していこうと考えています。──新規店舗のメンバーも、スタッフからやりたいという声があれば抜擢する?新しいチャレンジに関しては、会社発信と個人発信どちらもありますが基本的にはスタッフの意思を尊重します。日常業務の改善などは個人発信でどんどん進んでいくし、新店舗は機会があれば挑戦できる。なので「思っていることはミーティングや面談など公の場で言おう」と発信しています。やりたいことを言っているとチャンスは巡ってくるし、形になる。何よりも大切なのは素直さ──採用する際には、どんなところを見ていますか?大切にしているのは素直さ。──良いホテルはみんな、素直さが大切と言いますよね。お客様に対してはもちろんですし、うちは会社の変化が早いので素直さが必要になる。新しいことをやると決まった後のスピードが速いんです。大手だと数週間かかるようなことが、うちであれば「これやりたいです」に対して社長が「いいんじゃない?やってみれば!」で次の日からやりだす。そういう変化やスピードを楽しむには素直さが必要だと思っています。お客様もそういった変化を面白いねと言ってくれる方が多いんですよね。──スタッフは応募の段階では何を求めてこの会社に来ているんですか?何かしら変わりたいと思っている人が応募してくれます。「普通はこうだから」「業界はこうだから」みたいな考え方が嫌で、うちに来てくれる。逆に変化が嫌だったり自分の意見があまり無い人は合わない会社だと思う。風通しがいいとか仲がいいですねってよく言われるんですけど、よくも悪くも意見を常に言い合える環境なので、結果的に仲がいいようにみえているのだと思います。逆に言うと、言いたいことを我慢したり意見を聞かれるのが嫌な方には、つらい環境かもしれません。──それぞれやりたいことや意見がある中でぶつからずに、人が魅力になるぐらい仲の良さを維持できているっていうのは、人間性の部分で信頼が成り立ってるから?それも素直さに繋がるのかな。お互いに意見を言った時に、素直に受け止められないと苦しくなってしまう。何か違う意見があっても、その“人”が違うのではなく“意見”が違うと理解ができているから、言い合いのあとでも後腐れなく会話できるんです。──自身の成長も、スタッフ同士の仲の良さも、ゲストに好かれるのも、全て素直さが必要になってくるんですね。カルチャーが合う人だけが残っている、純度の高い組織なのが伝わります。あとはマルチタスクの働き方も、信頼や仲間意識につながっていると思います。キッチンの働き方がわかれば、フロントに立っていても「今の状況だとキッチンが忙しいタイミングだな…」とかがわかるので、自然と助けあったり改善案が出やすかったりするんです。──逆に組織的な課題はありますか?会社が急成長できない1つの要因は、商品やサービスをパッケージ化できないことだと思います。強みが“人”となった時に、マニュアル化して拡大できないんです。個人のスキルやセンスに頼ってしまっている部分が多い。たとえばうちのレストランの店長は少し特殊な方で、お客様をいっぱい呼んでパーティーをやったり、一緒に飲み行くのが好きなんです。そういうのは誰もができることじゃないし、みんなが真似するのは無理だと思うんですよね。ある程度の“らしさ”を残して、それをどうマニュアル化していくかが課題になっている。──接客業の永遠の課題ですよね。属人的な強みじゃないと惹かれない部分もある。そうですね。逆に言うと、それを抽象化して整理できる人が入ってくれたら面白いかもしれないですね。文章・編集:田中拓海写真:田中拓海hoteltree(ホテルツリー)は、働きたいホテルが見つかる求人サイトです。宿泊業界の離職率は約30%。入社する理由と、続けられる理由は異なると考えています。続けられる理由まで考え、ホテル業界の取り組みや支配人の想いを紹介していきます。ミスマッチを減らすことを目的に、誠実なホテルと宿泊業を志す人々、それぞれに真摯に向き合っていきます。