世界中から旅行者が集まり、地域の幅広い年代の方々にも愛されるホステル『Len 京都河原町』。人を惹きつける魅力のある空間で、日々新たな出会いが生まれています。『See you againと思える場所』という価値を大切にしていて、筆者も京都に住んでいた時に自然と何度も足を運んでいました。今回はCoachの目黒健さんに、いろんな年代のお客さんが集まる理由や、働き続けられる環境についてお伺いしました。おじいちゃんと若者が交流するラウンジ──Lenを運営するうえで、どんなことを大切にしていますか?大切にしているのは、人と人との繋がりです。家族や友達のような感覚で滞在してもらいたいと思っているので、スタッフとお客さんという関係ではなく、個人として関係を築いていく。例えば観光案内でも、お客さんと従業員という目線ではなく、自分個人としておすすめすることを大事にしています。もう一つスタッフに大切にしてもらっているのが、Lenのゲストバリューである『See you againと思える場所』。チェックアウトする時に「ありがとうございました」ではなくて、「またきてね」や「いってらっしゃい」と送り出します。──リピーターが多い印象があります。何度も選んでくれる理由は、やはり人としての繋がりなんでしょうか?人として仲良くなることでまた選んでもらえることは多いですが、それだけじゃないと感じます。あまりコミュニケーションを取れなかった方でも、「泊まって良かったからまた来たよ」と言ってくれることがありますね。──確かに空間としての居心地の良さもとても感じられます。地域の常連さんも多そうですよね。カフェ利用でほぼ毎日来てくれるおばあちゃんもいるし、週3〜4日飲みにきてくれる常連さんもいます。──一般的なホステルのお客さんは若い方が多いイメージがありますが、Backpackers' Japanの宿は、ご夫婦やおばあちゃんなど、街のいろんな人たちが来てくれている印象があります。なぜいろんな層の方が来続けているんでしょうか?僕もちょうど昨日考えていました。最近よく来てくれる若い男の子は、腕にたくさんタトゥーが入っていてぱっと見強面な感じなんですけど、その横に初めましてのおじいちゃんが来て、さらに日本を旅してる女の子が加わって、楽しそうに話してるんですよね。行きつけのお店を紹介してあげるよみたいな感じで仲良く一緒に飲みに行っていた。他にはあまりない空間で、改めて面白いなって。チェーンのコーヒー屋さんだったらいろんな層が来るかもしれないですけど、ここに来る方はみんなうちを楽しみにしてくれているし、交流が起こる。それはなぜなのか。ちゃんとした答えは出てないんですけど、みんなの受け入れる幅が広いとかはあるかも。 ──ある程度コンセプトを決めた宿であれば、特定の層が通いつづけるっていうのは起こりうる。けどそうじゃなくて、いろんな層の方がいろんな頻度で来続けているのは本当に街に愛されるってことなのかなと思います。創業時の理念である『あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を』を、スタッフが無意識に感じていて、それを目指しているのかなって思っていました。不思議な空間ですよね。いろんな層を受け入れる姿勢だったり、個人として接することだったり、まとめるとスタッフが作りだす空気感なのかな。間違えたらちゃんと謝る──休みの日もずっとここで過ごすほど居心地がいいとおっしゃっている記事を見ました。スタッフにとっても居心地のよい空間はどうやったら生み出せるんですか?Lenが好きということだと思います。スタッフにもここを好きになってもらうためにcoachとして意識してることは、みんなを好きになること。自分のことを好いてくれたら、誰だって嬉しいじゃないですか。スタッフに対してもお客さんに対しても、単純な関心と気持ちいい対応を心がけています。元気に挨拶するとか、ありがとうってちゃんと言うとか、皆も出来ているから気持ち良い循環が生まれているんだと思う。──接客する上で大切にしていることはありますか?間違えたらちゃんと謝ること。まずごめんなさいって言う。大体言い訳しちゃったりするじゃないですか。例えばチェックインの順番を間違えちゃった時に、気づかないだろうと思って何も言わないこともできると思うんですけど、そういう時にちゃんと謝る。間違えたことは大体カバーリングできて、更にプラスにできるんですよね。間違えたことを認めるってお客さんに対して真摯であるってことなんです。──真摯であろうとするのって、ゲストバリューの『See you againと思える場所』を実現する上でつながってきそうですよね。ゲストバリューは運営し初めてから決まっていったものなんでしょうか?会社の制度がCo-Mに変わったタイミングで、店舗チームとして方向性を話し合って決めました。僕が提案したワードではなく他のスタッフが出したものなんですけど、それをみんながいいなと思って大事にしてくれているのは素敵だなって思っています。──言語化されてから、接客は変わりましたか?どちらかというと再認識のための言語化なので、大きな変化はないです。ただ新しくスタッフが入ってきて、何か行動をするときに、今の行動ってゲストバリューに合ってるんだっけ?みたいな、考えるきっかけにはなっているかと思います。その行動が良いか悪いかってよりも、その行動がどこに向かっているのか自分の頭で考えてもらえる。行動というより、思考のプロセスが変わった感じですね。──意思決定の拠り所になっているんですね。ゲストからの「ありがとう」が、お店の自信につながる──目黒さんは、Lenのどんなところが好きですか?基本的に全部好きなので、ここ!っていうのは難しいんですけど、ストーリーは好きですね。なぜこのデザインにしたかというストーリー。例えば入り口から入って左側の壁が少し青くて、右側が白いタイルになっています。実は左側が鴨川の流れをイメージしていて、右のタイルは京都の周りの山々をイメージしている。よく見ると青い壁は左官で、石にぶつかって動きが分かれるような模様になっています。押し付けがましくないこだわりが要所要所にあるんです。──Lenで働き続けられている理由は何かありますか?純粋に楽しいからですね。ゲストと仲良くなったり直接ありがとうと言ってもらえたりすると、いいものを作れているなっていう体感が得やすい。やっぱりそれって楽しいし、自分のモチベーションにもなる。あとは、この会社が好きっていうのもありますね。人も制度も会社が大事にしている空気感も。──確かに自分がいいと思ったもので仕事ができる状態は大切ですね。逆の環境だと心からお勧め出来ずに苦しくなってしまう。これから入社を考えている方にとって、スキル面ではどんな魅力がありますか?Co-Mという制度があって、全てのスタッフに等しく意思決定権があります。自分で企画を立ち上げることもできるので、立ち上げを通して企画力やプロジェクトマネジメント能力などは身につけやすいと思います。あとは会社としても数字に関する勉強会や制度があるので、経営に関わる数字についても学べます。──勉強会があるんですか?そうです。財務担当のスタッフが、新しく入社したスタッフ向けに財務諸表の見方から教えてくれます。店舗でも宿のセクションのミーティングがあって、最近入社して1ヶ月ぐらいのスタッフが初めて参加したんですけど、ADRって何ですか?RevPARって何ですか?みたいなところからスタートしました。興味があれば売り出し方から宿の経営まで学んでいける環境だと思います。主体的に動ける人は楽しめる──Co-Mになって何が変わりましたか?自分で考えたり、主体的に動ける人が働いてて楽しい環境になってきているのかなと感じます。──主体的に動ける人は、職の流動性も高いのかなと思っています。スキルがある分、早期に転職する方もいますか?うちで言えば逆のケースがありました。飲食の深い知識やマネジメント経験のある方で1年間働く予定だったのが、楽しいからと言って3年に伸ばしてくれました。──カルチャーが合うことの大切さを感じますね。マイナス面での離職だと何がありますか?気軽に働きたいとか、言われたことを黙々とやり続けたいという方は難しい。いわゆるアルバイトみたいな感覚だと、求められるものが多いと感じてしまうみたいです。最近、アルバイトのスタッフが客室のライトを変えたいと提案してくれたんです。京都のお店をいくつか見て回って、他のスタッフにも意見を求めて決めていく過程が楽しいと言ってくれた。そういったことを楽しめる方が合うんじゃないかと思います。──Backpackers' Japanの人たちはお酒が好きなイメージがあります。Lenにも似たようなカルチャーはありますか?お酒が好きっていうのもあると思うんですけど、人とコミュニケーションを取ることや皆で同じ時間を共有するのが好きな人が多い印象です。役員もそうですし、Lenのスタッフもそれはあるかな。一昨日も仕事終わりに飲みに行きました。普段昼のシフトに入ってるスタッフが初めて夜のシフトに入ったので、どうだった?みたいな話をお酒を飲みながら話しましたね。──Backpackers' Japanの方達って常に楽しそうですよね。最後に何かお伝えしたいことがあれば!ものすごく楽しいよ!っていうことが伝われば嬉しいです。お酒が好きな人もいれば、東京の店舗に比べてのんびりしている人も多い。宿のサイズも大きすぎないし小さすぎることもない。泊まっている人の顔も覚えられて、お客さんとのコミュニケーションも楽しいと思います。文章・編集:田中拓海写真:田中拓海hoteltree(ホテルツリー)は、働きたいホテルが見つかる求人サイトです。宿泊業界の離職率は約30%。入社する理由と、続けられる理由は異なると考えています。続けられる理由まで考え、ホテル業界の取り組みや支配人の想いを紹介していきます。ミスマッチを減らすことを目的に、誠実なホテルと宿泊業を志す人々、それぞれに真摯に向き合っていきます。